INTERVIEW

新型コロナウイルスが子どもの教育に与えた影響

新型コロナウイルスの感染拡大で2020年、そしてまだ現在も続く各所への影響。ビジネスのみならず、教育界、つまりは子ども達も大きな影響を受けました。通常通りの授業ができないことによる学習進度の遅れ、学校に行けずクラスメイトとの交流がないことによる心の変化など、懸念されていることは多々あります。他国では、コロナによる子ども達への影響について少しずつですがデータが出てきています。

Speaker Profile

満木夏子

GKCors / Pivot Tokyo
Pivot Tokyo 主催。世界最大級のテクノロジーカンファレンス、ウェブサミット日本事務局の代表を務める。日本からグローバルに挑戦する人を増やすため、GKCorsという英語の幼児教室も運営している。
幼児の言語能力への影響
教育機関休校による幼児の言語能力への影響とは
英国で行われた5万人の生徒を対象とした調査によると、言語能力において支援を必要とする4歳と5歳の子どもの数が増加していることがわかりました。4歳、5歳というと日本では年中、年長ですが、年長さんは小学生前という幼児教育において一番重要な時期です。海外では、キンダーという小学校の準備学級に該当する年齢。読み書き等のアカデミックなプログラムも少しずつ始まる時期。一般的に、言語の発達の遅れは、その後の学習に長期的な影響を及ぼすといわれています。この結果を受け、英国政府は、子供たちへの特別な支援を含む、幼児期のキャッチアップを行っています。

なぜ、このようなことが起きたのでしょうか。EEF(Education Endowment Foundation:教育基金)の調査によると、新型コロナウイルスの感染拡大の封じ込め対策による様々な措置が子ども達を社会的な接触や、語彙を増やすために必要な経験を奪ったとしています。例えば、祖父母との接触の減少、ソーシャルディスタンス、友人との放課後の交流のなさ、マスクなど公共の場で顔を覆うものを着用するなど、子どもたちは会話や日常の体験に触れる機会が少なくなっています。

英国の小学校58校を対象にした調査では、2020年9月に入学の児童のコミュニケーションについて、例年よりもサポートが必要な生徒は76%にも上り、96%が児童の言語発達に懸念を抱いているという結果が報告されています。
遊べない子ども達が失うもの
ロックダウンによる公園遊び、放課後の子ども同士の交流の減少は子供たちにどのような影響を及ぼすのか。
『遊び』というと勉強とは対比するものと思いがちですが、遊びから学ぶことは時に教科書に書いてあることより人生において重要なことであったりします。日本に限りませんが、親の良い教育を与えたいという過度な思い入れや受験戦争に追われ、子ども達の能力をつい結果が数字で見えるもので評価しがちです。ですが、人の能力はテストの点数だけでは決まりません。その分野の本を読むだけで仕事で結果が出せる、ということはあまり聞かないと思います。実体験で学ぶトライ&エラーは、数字ではみえませんが、経験値として確実にその人の人生や仕事でのパフォーマンスに影響しています。子どもも一緒です。そういった観点で、この新型コロナウイルスの感染拡大に伴い子ども達の”Free Play(自由な遊び)”の機会が奪われ、幼児期が『学校化』されていることに対して欧州では、専門家が警鐘を鳴らしています。

幼少期の教育に関する世界ランキングでは常に上位にランクインされているフィンランドでは、「子供たちが勉強面で学校に行く準備をすることではなく、子供たちが幸せで責任感のある人間になるようにすること」という思想のもとに教育制度が成り立っており、フィンランドの教育者たちは、遊びは、注意力、問題解決能力、忍耐力など、生活や学習のスキルを高めると考えられています。屋外での遊びは特に重要視されており、中学までは毎時間15分の屋外でのブレイクタイムが設けられています。
ドイツでも、パンデミックの影響で、遊びの重要性が再注目されています。2020年末には、子どもの権利運動についてロビー活動をしている団体による、14歳以下の子どもの社会的交流を制限する政府の計画に反対するキャンペーンが行われました。その結果、子ども同士の交流を2人までに制限するというルールは廃止。ドイツ国内では依然として、社会的交流の減少と運動不足により、ロックダウンは子どもたちにとって多くの損害をもたらしたと懸念されています。

パンデミックの影響を受けた子どもたちの回復を支援するための対策についても、議論が続いています。英国では、政府は、学業の遅れを取り戻すために、学校の授業時間を延長、長期休暇の短縮に重点を置いていますが、児童心理学者は、子どもたちの精神的な健康を守るために、「遊びの夏」を提唱しています。

遊びの時間の減少による影響のデータはまだあまりないですが、多くの国で、児童心理学者をはじめとする専門家が、遊び不足による子ども達への悪影響を懸念しています。このパンデミックを機に、学業成績という狭い枠を超えて、子ども時代について改めて考えることが必要ではないでしょうか。


postscript

この新型コロナウイルスの感染拡大による教育面での子供たちへの影響についてずっと懸念していたことがやっぱりか、というのが正直なところです。運営しているスクールでも、マスク着用で英語を教えること、オンラインでのレッスンは、やはり通常のレッスンとは違うなと感じることが多々あります。早くこれまでの日常に戻ればいいなと思う反面、戻るのだろうかという話もあるなかで子ども達の未来をきちんと考えないといけないなと思っています。

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