INTERVIEW

日本の教育は本当にダメなのか?日本教育の良さを再発見

教育には様々な方法があります。万人に完璧なものは存在しません。昨今、子供を日本の学校ではなく海外に送りたいと考える方が増えています。確かに英語教育や創造性といった観点で日本教育に課題も残ります。しかし、日本教育は全てが悪いのでしょうか。ここでは再度、日本の教育の良さを考えてみたいと思います。繰り返しますが、万人に通用する完璧な教育方法はありません。だからこそ、それぞれのメリットとデメリットを知ることが大切です。流行りにのって極端な選択をするのは子どもたちの将来に悪影響を及ぼし兼ねません。何が子ども達にとってベストなのか、を考える必要があります。
オリジナルポスト:GKCors

Speaker Profile

満木夏子

Pivot Tokyo / GKCors
Pivot Tokyo 主催。日本からグローバルに挑戦する人を増やすため、GKCorsという英語の幼児教室を運営している。世界最大級のテクノロジーカンファレンス、ウェブサミット日本事務局のレプレゼンタティブも務める。
高い数学力
日本は識字率や数学的能力が高いことで世界でも知られています。日本の数学は、高い計算力を養うと評価されています。日本人が算数を得意とするもう一つの理由は、「そろばん」にあります。今でも子どもたちの暗算力を鍛えるための算数プログラムの一部として使われています。

算数に関しては、2018年のOECD算数スキルで日本は6位と、アメリカを大きく上回っています。日本は、数学の教科書についても一定の評価を得ています。イギリスの数学教育研究者ハウスン教授が、日本を含む8か国の数学教科書を分析しました。その中で、日本の教科書は、教師や生徒が見た目で分かるように構造化されている、またフランスと日本の教科書だけが明らかに証明を教えようとしている、などと分析されています。教授の分析論文の中には、「アメリカの教科書のすべてに取り組もうという生徒はいないが、日本では、ほとんどの生徒が教科書の全章を勉強するであろう。」と書かれているほどです。この文献、OECDの結果でも課題として挙げられているのは、日本では数学への興味、数学を使った職業へ推進するような内容が教科書やカリキュラムに見受けられないということでした。逆にいえば、子ども達のモチベーションを上手く引き出す方法を家庭でサポートできれば、数学のスキル自体は既存の内容で世界でもトップレベルを目指せるということです。私が米国でいくつか学校を視察した際も、日本やインドの計算方式を取り入れている学校がありました。そういった面でも日本の数学のレベルの高さが伺えます。
子どもたちの全ての可能性を伸ばす"知・徳・体”教育
日本の教育は、学問的な部分だけでなく、体と心の成長をも重視しています。文部省も掲げている「知・徳・体」という言葉があります。知とは、学力、基礎を学び、自ら課題を見つけ、考えて解決すること。徳は、心の豊かさ。日本人は自己管理、他人との協調性、他人への優しさ、感性を大切にします。体は体の健康、積極的に生きるための健康と体力。時に精神論を全面に出す教育で批判されることがありますが、本来は学問を行うにも体力・気力(モチベーション)が必要、それを教育を通して養うという目的があります。幼少期、低学年の体が作られる大事な時期に、お勉強ばかりで運動をしていない子は、体力がつかずどこかで勉強にも影響がでます。また、何かに挑戦して失敗と成功を味わう経験をしたことが少ない子どもは、何かを最後までやりぬく力(Grid グリッド)がつきません。
手先の運動能力の向上
日本の教育では、特に幼児期においては、手先の運動能力の向上が重要なポイントとなります。手先の運動能力と学業成績の関係は、様々な研究によって明らかにされていますが。手先の運動能力は、学業成績や達成度に影響するという結果が出ています。日本の幼児教育は子どもの運動能力をどのように鍛えているのでしょうか。例えば、日本の子どもたちは、手先を使った工作をたくさん行います。幼稚園や保育園では、折り紙をはじめ、たくさんの工作が行われています。これにより、高い運動能力が自然に身につきます。初等教育の準備のためには、手先の運動能力が重要です。一見関係ないように見えますが、例えば、鉛筆をもって文字を書くという行為は、ペンを持たせれば急にできるものではありません。お絵描きなどのアクティビティを通してだんだんと手が思い通りに動くようになるのです。また、手先を使うことで脳神経を刺激することから、工作などの巧緻性を養うアクティビティが多い日本の教育には、メリットが沢山あります。

Writer's Comments

日本の教育の素晴らしさは世界的にも評価されており、課題はあるものの、評価されている部分は我々日本人こそ認めていくべきではないかと思います。お受験というと引いてしまう方や、小学校受験を考えていなければ自分ごととして捉えない方も多いですが、その内容は幼児期に身に付けたい基礎力や、IQ向上のための訓練を上手く網羅しています。米国の小学校受験の様子を見学したこともありますが、日本のお受験で行われるような行動観察、巧緻性、言葉の試験などがあり、日本での幼児教育の内容は十分世界に通用するものだと感じました。

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