2022年3月17日-18日に渋谷トランクホテルで開催された、日本発グローバルweb3 コミュニティ、NFT Summit Tokyo [pinnacle] 。ローンチイベントのキーノートを飾ったのは、伊藤穣一氏、平井卓也氏。モデレータは金山淳吾氏、主催の満木夏子で「Future of web3: How does it change people's lives? (web3 で人々の生活はどのように変わるのか?) 」について議論しました。

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Speaker Profile
伊藤穣一 | 平井卓也 | 金山淳吾 | 満木夏子
- 金山:おはようございます。キーノートをお届けします。WEB3、NFT時代にシフトしていくなかで、人々の生活はどう変わるのでしょうか?仕事の仕方、価値の出し方等。Joiさんは新しい胎動を目の当たりにされている。そのへんも交えて聞きたいと思います。生活シフト、コミュニティシフト。
- Joi:アメリカが進んでいるかどうかわからないが、まだまだ使っている人の数は少ない。ただクリティカルマスには達した。去年の中盤くらいまではアピールしていた。詐欺じゃないと。そこからはお金と人が入ってきた。説明はやめるので勝手にやっちゃおうと。
クリプトネイティブのVCがマスにいるので、いい意味でも悪い意味でも溝が出来た。
新しいチームはガンガン動いている。加速している。自分もだんだんスピードが出てきている列車に追いついたが、おいていかれている人がいる。
良いことをやっている人は普通の人にはわからないような言葉を使ったりしている。リテラシーがない人は見えない。ベスプラも外から見えない。アメリカでも割れている。バイデンはやや前向きだが慎重にと。応援している人は限られているが面白いことをやっていると。 - 金山:デジタル庁が昨年立ち上がりました。web3は、どの国もスタートラインが同じ。どういう展望を持っているのでしょうか。
平井:デジタル庁を作る時にJoiからはアドバイスを頂いた。GaaSノート。
デジタル庁もスタートアップ企業。システム最適化などをミッション。WEB3セクションが無い。急遽作れという事になった。
WEB3が盛り上がって9日にバイデンのエグゼクティブオーダーが出て、バランスを取ろうと。日本は自民党的に言えばもっと前のめりで進んでいる。年明けからWEB3/NFTの話もしているしスタートアップも議論の中心。論点はどう邪魔しないか。自民党でも何のことやらという人とキャッチアップしている人にわかれている。同じ状況が起きている。説明するのが説明することは難易度が高い。我々に任してくれという状態。
ピッチばっかり受けていた時期があった。不確実性が高くて迷うのを減らしたい。
こういうやり方だったら大丈夫、というのを増やしていかないと。後は税制問題。利益確定していないものに課税するというのはあり得ない。
暗号資産もそうだし未上場株式評価もそう。日本の税制はリスクを取って何かをやる人には冷たい。そこを変えるのはNFTの世界もベンチャー周りの資金の話もそう。これを今やらないとだめだと、危機感を持ってやっている。- 金山:NFTはアートを投機的に買ってセカンダリーマーケットでどう売るかという事に熱がある感覚。ただ根本的にどういう風に社会システムを変えていくかの予測を伺いたいと思います。
- Joi:メタファーでいうと新しい素材。暗号通貨、人工知能色々あるが今までと全然違うことができる。社会が何をしたいかという事を理解して、建築と一緒。木をコンクリートにしてみたり。今のNFTは当たり前の流れ。テレビでラジオ音声を流したりということ。
クリエイティブを持っている人が技術を理解していく過程が必要。メディアでいうと、テレビ/新聞の技術を作ってる人はクリエイティブを作ってない。ゲーム業界はプログラム書く人がクリエイティブ。ここが近い。ブロックチェーン技術を理解しつつ何かやりたい人が増えないとだめ。そうなるとすごく違うものが増える。
Eメールやってた時はみんなNetflixなんてできると思ってなかった。日本は技術わかってる人がいない所で建築してる感じ。
- 金山:今の話を聞いてどう思われますか。
- 平井:山古志村のNFTを友人が買った。800人の村がNFTを売ってDAOみたいなガバナンスでやっている。日本中結構そういうのがある。とりあえずやってみようが増えたのはちょっと変わった。前はペーパーにはするがやってみなかった。
当時3年前くらいにICOやろうという時はやらなかった。今回はとりあえずやってみようという風に手が動いている。WEB3の世界はやりたい事を見つける世界観で言えばGAFAに情報預けて便利になるというところの潮目が違う。
1980年代、ローカルテレビ局の社長をやっていた。電波のデジタル化が論点だった。あの時点でデジタル化のインパクトがわかっていれば、Netflixみたいなものが作れたはず。大きなビジョンを描けなかった。インパクトを甘く見ていた。
Joi:技術を理解するのは使えば良い。地域でとりあえずやってみる。市長がわかる。そもそも理解を出来ていない。使わないとわからないが使えばわかる。感覚的にわかると想像ができる。
平井:イーサリアムを触れる人は楽しい。いろんなことが起きている。×アートなどの掛け算は無限にできる。いろんなアイディアを試すのを邪魔しちゃいけない。リスクを取りやすくしてあげたい。政治家的な発想。
- 金山:国のガバナンス。勝手な事はするな。ルールの中で活動して欲しいという流れ。WEB3は非中央集権的。これをどう見守るかとのシフト。国との相性は悪いのでしょうか?
- 平井:デジタル田園都市国家構想。これは分散して成長するモデルを求めようということ。世の中に理解されていない。集中型で引っ張ってきた昭和、一本の坂道をみんなで同じ様に進んでいくと同じ結果が得られる。こういう時代じゃない。デジタルで分散させていって、リアルなコミュニティが地域にあって、トータルで日本の成長があるというのが新しい資本主義だと理解している。
- 金山:仮説的なものがある。確実に訪れてくるものとして、日本は超高齢化。そこで相続の直面がある。これをどう自分ごと化するか。WEB3やNFT。個人の資産をNFT化する事でユニークな資産運用や家族経営と相性が良い。国からすると確定税だがマイアミのシティコインの場合は市民と共に共同経営体としてやっていこうというコンセンサスを持っている。どういう形になれば共存共栄があるのでしょうか?
- 平井:相続税のために会社の評価を下げたり、税金を少なく払いたいために何かを痛めるという事をみんなやってる。相続で悩むのは会社を継いで会社を活かしていく権利を相続するのと、土地の権利などを渡すというタイミング。相続税は高い。土地はずっと税金払い続ける。個人のものとして思えない。対してNFTがもし完全に非課税だったらみんなそっちに行く。それは単純にキャッシュに変える株式でなく、世の中を回していくための価値として残っていく。
また、サステナビリティ。何かを守っていくためにそういうものを組成するというのは次の時代の相続ではないか。
- 金山:Joiさんが提唱されている換金できないトークン。これは相性が良いのではないでしょうか。現金資産を守るものでなく、コミュニティの継続をするための手段では。
Joi:ポッドキャストリスナーも含めてコミュニティだと考えている。お金で買えないものしかもらえない。コミュニティトークンだと交換業にも引っかからない。何でもお金に換算しないと価値がないと思っているが、学位やお祈りや純愛など換金できないものは多い。そういう世界はある。相続に繋がるが、そもそも国はルールメイクが難しい。新しいツールがいっぱいあるのでそもそも論をしようよと。所有権は持ってるが、利用権は渡せるよとか。使用権をNFT化したり。自分よりも利回りが良い事業があればバイアウトできるとか。自分が欲しいことを説明して、僕らが守りたいのは消費者保護。それを担保できるなら話し合いができる。アメリカだとよくある。ここに投資したいが税制がネック。そこを交渉できる。ピーター・ティールとホワイトハウスが交渉したりしてる。土地の使用をコミュニティに戻していきたい。そこにNFTやDAOが使える。
金山:財団。財を成した人が運用しつつやっている。それと違う流れ。
- 満木:シティコインの話も伺いたいと思います。マイアミやNYでは、市長の給料が暗号通貨という事例もあります。そういうのはアメリカはやりやすいが日本は今後どうなっていくのでしょうか。
- 平井:国家はウクライナの状況を見ても安全保障の責任を持つ。QoLを求める市民の優先順位は違う。それは地域に任せ、基盤だけ作る。デジタル庁はそれをやりたい。自治体がオンプレでやるのはやめましょうと。そこで自由な事をやってくださいという流れ。システムの話より選択肢を増やせる社会を作ろうということ。理解してる市長はチャンスだと気づいて新しいことをやっている。やっぱり今までのやり方を守らないといけないしそれが正しいと思うと一歩も前に行けない。皆どう思っているか。日本の経済の回し方は延長線上このままやると良い方向にいくかと想像出来ているか。じわじわ衰退していくのを望む人もいるだろうし、新しいことにチャレンジしようという人もいる。我々のスタンスは後者。Z世代の人たちが世の中の中心になったときにオールドエコノミーの方に引っ張りたくない。
- 金山:すごく気になるのは、オールドエコノミーの人たちが持っている利権と権利がでかい。解放されていかないと日本が勝ちとして武器として世界と戦っているものじゃない所で勝負しないといけない。こちらが解放されると良いなと思うのですが。
- 平井:国全体だとステークホルダーが潰してくる。このエリアでやる、特区やサンドボックス。ここでやってみるというところからスタートするのが正しい。渋谷区としてやってみる。昨日経団連と話してたら、早く自分たちを脅かす企業が出てきて欲しい。自分たちは脅かされてもいいから、次の世代を育てたい。マインドセットが変わった。言うだけはできる。本気に聞こえた。世界の時価総額見てたって経団連メンバーがやってて日本の競争力、成長力どうなるか。不安に思う。正に今、このエリアWEB3の世界が新しいものに見えているが。世の中全体のマクロシフトが起きていると感じる。
Joi:新しいファンドを見ているとコミュニティ型のDAOも出てきているし、哲学が違うところで出てきている。資本力と知恵がついてくればボトムアップでやってるところが出てきている。ただお金が集まると利権主義者になるのか、分散型の美学でボトムアップ資本として動けるのかが試されている。理想的にはコミュニティ・お客さんが参加している。広く集まっているガバナンスはうまくいかない。投票は乱暴なしくみ。投票よりも良いガバナンスのやりかたを実験されている。ほっとくと海外ばかり。日本でDAOが出来てコミュニティが出来て資本を動かせたら、日本の経団連と交渉できる力が付く。そんなにうまくいかない可能性もあるが。
- 金山:日本で立ち上がっているDAOで面白そうな所はありますか。
- Joi:各国に会社があって、自分の会社の職員はDAOで雇うような形。人材派遣DAO。派遣される側もする側も手数料7%で決める。使ってる人たちがコミュニティに参加する形。住む場所をNFT化していく話も。またコーポレートコンプライアンス。KYC。オブジェクト化している。KYCしたらアドレスに書き込むなど。こういうパーツがDAO化している。今まではファンドを作るのがわかりやすいが、慈善事業DAOが増えている。
- 金山:ウクライナへの支援、暗号通貨で100億ドル?くらい集まっている。日本はその受け皿が無いのでは?
- 平井:地震があった。被害が起きた。義援金が集まったが今回はクリプトで来るなと。日本でシミュレーションしてみたが想定していませんと。ウクライナのお金の集まり方見てると、クリプトで来る可能性は高い。早いし。あっという間にくる。
金山:平常時には運用しているが緊急時にそういう機能があると。
平井:ふるさと納税のDAO化というか。
金山:素晴らしい仕組み。地方が財源確保。渋谷区や港区。高額納税者がいる。利用者側として恩恵を感じる所は流出が多い。財政のマイナスは一部行政には大きい。NFTやWEB3で考えるとふるさと納税の返礼品にもありえる。
平井:山古志村のNFTもそうだが、山古志村の住民になれる。住民票に全て縛られている。そこに税金が繋がっている。デジタル時代に果たしてどうなるかという議論は起きている。エンジニアの人は働く場所がフリーになっている。働く場所と住民票が一緒ということもない。年に3-4回いろんな場所にいく。住民票、マイナンバー、選挙権が紐付けられて固定されてしまうと邪魔になってくる。そういう発想でいうと、渋谷区は取られてるという感覚。バーチャルな渋谷区民は日本中どこでもおける。発想を変えて、旧制度はおかしな問題がある。居住と宿泊の境がなくてモメている。制度だから変えられる。それを変える勇気を持てるかが大事。
金山:人口100人の村と渋谷区、共同経営していけるのではという例えがある。土地に縛られていきている事に囚われたいわけじゃない。
平井:住民票に縛られている。
金山:また、選挙。関係したい街。神奈川県藤沢市で生まれた。今は渋谷。親は住んでいる。将来住みたい気持ちもある。その時の市議などを決める権利はない。都市経営を任せる人を選びたい気持ちがある。
平井:インターネット投票も実現していないのでそこまで行かないが、人口ベースで一票の価値を照らし、整合性を取るために選挙区を変えている。デジタルな時代でそんな考えで良いのか。本当に小さな選挙区がこれからできる。東京に来ている人が生まれ育った土地の選挙に関心があるということはある。大学生はおいたままの人もいる。それは良いのかということ。この話も結論はすぐには出ないがテーマとして重要になってきた。
Joi:自分の投票権を人に委任する。アドレスがあるので、科学技術については平井さんに委任。平井さんも他の人に委任できる。案件毎に皆の投票を受けるが、自分が一番信頼している人にあげるということができる。預かった表を投票する。ディスカッションがエキスパートに集約される。専門分野じゃない人が専門家に聞いて投票するのでなく、分野毎に委任するというのがDAOでは動いてる。
DAOの中で見ると、部会の中でオピニオンリーダーが居て、セグメントされていく。WEB3の良さはこれが簡単になる事。小さな市で実験的にやれば良い。市に関心がある人は投票できるとか。
平井:設計できちゃうのが株式と違うところ。
金山;ヒューマンコミットで選ばれている。中央集権的。なんであの人が選ばれているのかわからない。会社の相談役・顧問もおなじ。これが民主化されていくのはベネフィットが大きい。
平井:お寺トークンの話聞きたい。
Joi:みんな短期的転売している。毎年お寺に行って賽銭すると消えないトークンを作りたい。トークンだと今まで何が起きたかがわかる。売っちゃいけないが形見であげるということができる。このトークンは100年あるんだよ、ということができる。お金と寺と自分との関係を作れる。
平井:檀家制度そのものずばり。この話を聞いた人、すぐ出てきそう。宗教法人は非課税。
Joi:寺がアート作ってNFT作るんでなく、寺とはそもそも何か。関係性。その関係が本物で何年も続いているということが証明されると面白いよね。
平井:絶対おもしろい。
Joi:どうやれば寺の芯ができるかは面白い。
金山:精神的帰属。
Joi:1250周年の曼荼羅を書く儀式。800年前に誰がスポンサーしたかというのがわかっている。800年後記録が残っているクリプトは?すごい長期で残るのは何かという視点がある。
平井:面白い。ラーメン屋がトークン発行したらという話もある。
Joi:中小企業が良い。中小企業の株なんで買えないのか。現金商売。帳簿とアカウンティングがない。監査コストも高い。儲かってるかどうかわからない。借り入れなどの乱暴な構造になる。ブロックチェーン技術でアカウンティングなどができるようになったら、ラーメン屋の価値がすぐにわかる。それがわかれば消費者が直接投資できると、DAO化できる。株主優待もできる。この店はお客さんすごい使ってるから融資もしやすい。直接金融ができるようになればもっとお金が回る。自分もレストラン投資してるが、借り入れにしなと銀行は言ってくる。トークンとアカウンティングシステムの電子化で流動性は上がる。
平井:すぐやるのが良い。エクイティになる。メニューに口出せる権利とか。インボイス制度ご存知だとは思う。中小企業の反対が大きい。これはやる。電子化したほうがコストが下がる。見られたくない、曖昧にしたいということがある。全部オープンにして利益をあげますというのが良い。会社法上どうなるか。
Joi:中身を見なくても監査できるようになる。今の制度はちょっとスケスケ。プライバシー保護しながら競争力を保つ方法はある。
平井:研究しないと。
金山:クラブカルチャー。エントランスフィー、実際いくらなのかはブラックボックス。全部現金収入。ドリンク売上もそう。その方が事業者ベネフィットがある。儲かりたいでなくお店を継続させたいから。
平井:クリプトじゃないと入れないクラブは?
Joi:無いが、クリプトでしか入れないバーを作ってみた。クリプトでしか買えないお店。
- 金山:最後に。クリエイティブ業界、クリエイターに対してサポートしていくという方向性を考えているオーディエンスが多い。日本はクリエイター大国。パブリッシャーやレーベルが儲かっているが、本人にどうお金が回っていくようになるか。
- 平井:クールジャパンと言っていた。ずっと前から反対していた。クリエイティブジャパンに変えるべきだと。自分で自分をクールと言わない。1979年に発売された真夜中のドアという楽曲が世界中のストリーミングではやった。外貨を獲得した。1回の再生でもらえるお金は0.03円。何百万回見られても大したものにならない。ストリーミングビジネスはクリエイターに優しくない。あれって曲のリストを作る人のポジションが一番高い。大本の才能があって作った人たちが認められない時代に、WEB3はそこに一石を投じることができる。ここをどうするかのやり方を間違えるとそっぽを向かれるし理解を求めながら自分たちの作ったものを広めていく方法を考える人が出てくるだろうと期待している。
Joi:クリエイターにツールのケイパビリティを学んで欲しい。僕らが全部やりますよという会社はあるが、職人と道具の関係。全員が技術者になれないが、道具の開発でクリエイターに貢献してほしい。
平井:Joiさんの話を学校の授業で聞かせたい。子どもたちが面白そうな事やってる人に、こんな大人になりたいという人に合わない。エンジニアとかスタートアップで成功した人とかを学校の授業に行ってもらう。子供はすぐ大きくなる。すごい能力が高い子がいっぱいいる。そこにJoiがいったらどんでもない化学反応が起きる。一番硬い教育委員会をどうするか。やらないとだめだなと。話してくれるだけでも、我々でもInspirationが産まれる。そこ。
Natsuko:ずっと聞いていたいですがお時間になりました。お二方本当にありがとうございました。
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あっという間の50分でした。お打合せのときから白熱した議論。NFT Summit Tokyo のローンチを飾るにこの上ない豪華なキーノートでした。
NFT Summit Tokyo では、17日のグローバルスピーカーの予習セッションをはじめ2日間に渡りweb3 が社会や企業活動に与える影響について議論しました。
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