INTERVIEW

新潟でのリモートワークで見えてきた、企業にとっての新たな可能性

ある事情をきっかけに、地元・新潟でのリモートワークを始めたC Channelの塩野さん。所属する会社や、仕事を変えずに生活拠点を変える。そのことで新たに見えてきたご自身の生活の変化から、企業にとっての「新たなチャンス」をお伺いしました。

Speaker Profile

塩野 聡

C Channel株式会社
新潟県新潟市出身。テレワークを活用して新潟在住。Web広告営業が得意。ポイントメディアの営業、Webコンサルティングの営業を経て、 2018年にC Channel株式会社に転職。Webマーケティング職,EC事業を経験し現在はLemon Squareの営業マネージャー。
はじめに、生活拠点を新潟に移したきっかけを教えてください。
最初の緊急事態宣言の発令によって、会社がリモートワークになった、というのが背景にあります。それから半年経った昨年の11月、父親が病気で倒れてしまったんですよね。いわゆる闘病生活が始まることになりました。そうなった時に、母ひとりでは負担が大きくなることを感じていましたし、自分自身父も母もサポートしたいという思いがあって、地元の新潟に帰ってくることにしたというのが実際のきっかけです。

会社自体はリモートワークOKになっていましたが、もちろん他の同僚は都内に暮らしていましたし、親の闘病生活をサポートすることを理由に地元に戻る、というのは前例もありませんでした。ですが、会社の上司に相談したところ、家族の一大事なのであれば、会社としてもバックアップしたいといってくれて、新潟を拠点に働くということをトライすることになりました。
実際、働き方にどのような影響がでたのでしょうか?
ずっとリモートの生活ではコミュニケーションが取りづらいということもあり、月に一度は東京のオフィスに出社するような約束になっていました。そこから何度か月に一度、東京に出張するという生活を続けていたのですが、タイミング悪く二度目の緊急事態宣言が出てしまって。会社としても原則出張禁止になってしまい、東京にいって対面のコミュニケーションを取るということができなくなってしまったりしました。

また、自分自身も最初は新潟を拠点とする生活にストレスを感じていました。やはりコミュニケーションの部分で負担がかかっていたようで、被害妄想に近いんですが、新潟を拠点に働くようになった途端、社長が冷たくなった気がしてしまったり(笑) 結局私の勘違いでしたが(笑)

これまで取ってきていたコミュニケーションと違う状況に慣れず、最初は戸惑いもありました。そんな自分の気持ちについては、上司に素直に話していましたし、僕の環境が変わったから受け取り方が変わっただけではないか?という指摘をもらえたことで、そこから1ヶ月ほど経って、精神的には落ち着くことが出来ました。
東京にはない繋がりを感じることが多くて、生活がとてもしやすくなった
生活と仕事のバランスや時間の使い方で変わったことはありましたか?
プライベートがだいぶ変わりました。何より、食生活がとても向上しました(笑) 自分が育った土地ということもありますが、新潟ってご飯がすごく美味しいんですよ。
それと、周りに助けてくれる人が常にいるようになりました。東京にいるときは一人暮らしでしたが、今はすぐ近くに実家があったり、幼なじみがいたり。母が週に一度くらい食事を持ってきてくれたり、地元の友人とお昼に出かけて500円で定食食べられたりとか、東京にはない繋がりを感じることが多くて、生活がとてもしやすくなった、というのはプライベート面にあった変化です。何より素敵な出会いがあり結婚もしました(笑)

とはいえ、東京は東京でメリットがあるとも思っています。新潟はお店の数が少なく、週末遊びにいくところの選択肢はすごく減りましたし、そこに対しての戸惑いもありましたね。

仕事面に関しては東京でもリモートワークでしたし、正直大きく感じた変化はないかと思います。あるとしたら、移動時間でしょうか?東京のオフィスに勤務していた当時は、埼玉に暮らしていたので、1時間くらいかけて通勤していたんです。当時は普通に電車に乗っていたんですが、その1時間を通勤だけで使っていることにもったいないなと感じるようになりました。リモートになったことで、その分時間を有効活用できるようになりましたね。

商談などであれば、1日3アポあると移動も含めて予定がぱつぱつになってしまっていましたが、リモートワークなら5〜6アポ入れることができますしね。
「なぜそこで生活をするのか?」という軸を持っているのが重要
生まれ育った新潟に戻ったUターン。地元だからこそ新しい働き方が成立しているという面もありますか?
確かにそれはあると思います。やっぱりこれが知らない土地だったら、と考えると、状況はだいぶ違ったかなとも思います。それと、僕が新潟での生活を選んだことには、父の看病というのが目的としてありましたが、新潟で生活するのは20年ぶりでしたし、地元の友達がいるとはいっても最初は不安がありました。

何か不安を感じた時には、「僕の生活の選択軸は看病のために新潟に戻った」ということ意識するようにしていました。その軸があったからこそ、精神面を健全に保つことができたというのはあると思います。

知らない土地で暮らす、というのも、個人的には可能性としてゼロではないと思うのですが、「なぜそこで生活をするのか?」という軸を持っているのが重要で、その軸をブラさなければ、全く知らない土地での生活も、時間はかかれど、そこでのコミュニティを自ら作っていけると思います。
人材採用の部分で新たに感じたリモートワークの可能性
新しい働き方を前向きに模索する人も多いと思います。働き方をどうアップデートしていきたいですか?
そこはすごく難しいと感じるところもあって、僕もいまだに不安です。20年、この生活を続けられる保証はどこにもないし、会社の方針としてリモートワークをやめて、東京中心の働き方に戻ると言われたらどうしようか?という不安はあります。

ですが、オフィスの場所に縛られない働き方というか、自らの住む場所を拠点として新しい事業を立ち上げることは出来るし、生活拠点を地場にお金を稼いでいくというような考え方になる方も少なくないのではないでしょうか。

企業にとっては、リモートワークの加速によってそう考える方が増えて、転職する人が増えるというリスクもあるんじゃないか?とも思っていますが、ただ単純にどの場所で働いてもいいよ、というリモートワークの形では、個人の成長はないと感じます。

僕が今、仕事や所属する会社を変えずに働き続けているのも、父の看病での移住を事情として会社が汲んでくれた、その事実に対して会社へのロイヤリティもあるからです。やむを得ない事情で移住をする社員が出た時には、そのひと個人の事情を会社として汲んで欲しいなというのは求めますね。

給与水準というのも重要な要素としてあります。今は、東京で働いている時と変わらない水準を維持しています。なので、給与水準を保ったままリモートで働いてもらうという状況を作ることができれば、企業の人事にとってもすごく可能性があることだと感じています。

都市部以外で暮らす方からすると、「給料は上げたいけれど、そもそもそんなに上がるものではない」と思い込んでいる方がほとんどだと感じます。なので、企業からしても、地方の人材を囲い込んでいくにも、どこで働く社員に対しても給与水準を一定に維持するというのは、人材採用の部分で新たに感じたリモートワークの可能性ですね。
その土地に暮らして場所、人のことを理解するということが大事
実際に事業の立ち上げなど、新潟という場所にこだわって始めた新しい挑戦はありますか?
営業の販路を拡大するために新潟の企業へ直接アプローチする、ということはしました。もう1つ、新規事業といった位置付けで、新潟だからこそできる事業の構想を上司にプレゼンしたりしています。新潟は東京に比べて土地が安いので、それを生かした事業の展開ができないか?と考えて、既に話し合いを進めています。

その土地に根付いたビジネスを考えるにも、その土地に暮らして場所、人のことを理解するということが大事だと思います。考え方が全然違っていて、東京のビジネスロジックとは全く異なる考え方をしていますし、地元の人たちの空気感に慣れてこそ、上手くいくことも多いと思います。

Writer's Comments

移住に伴うリモートワークに挑戦されている塩野さん。仕事とプライベートの両面にあったポジティブな変化をお話しいただきました。
リモートワークを公私共に充実したものにするには、その土地に暮らし、その土地や暮らす人の特徴を理解するということが何よりも重要なのだと感じるインタビューでした。そこから見えてきた"採用"の観点での新しい発見。組織の多様性を増すという意味でも、リモートワークが企業に与える良い影響を感じることが出来ました。

Interviewer Profile

わたえり/渡部 瑛理果(Erika Watanabe)

Pivot Tokyo株式会社
1992年生まれ、千葉県出身。通称 わたえり。上智大学経済学部を卒業後、2015年に博報堂入社。営業職として外資クライアントを中心に担当したのち、TBWA\HAKUHODOへ出向。コミュニケーション領域のプロジェクトマネジメントに従事。2020年7月より、Pivot Tokyo株式会社に所属。現在は、Ascendant Japan事務局長としてコンテンツクリエイション、運営に携わる。

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