INTERVIEW

動物に対する人の価値観に目を向けたペットフードビジネス

株式会社バイオフィリア取締役・矢作 祐之 さんにインタビューを行いました。。矢作さんはエンジニア職出身で、現在はペットフード・ココグルメの運営会社株式会社バイオフィリアでマーケティングを担当されています。事業の裏にある想いなどを聞かせていただきました。

スピーカープロフィール

矢作裕之

創業者/取締役COO | 株式会社バイオフィリア
東京大学大学院にて機械学習・AIに関する研究に従事し、卒業後エンジニアとして日本オラクル株式会社に入社。
並行してフリーエンジニアとしても活動し、複数のスタートアップ企業を支援。
2017年株式会社バイオフィリアを設立。
はじめに、株式会社バイオフィリア立ち上げまでの経歴を教えてください。
大学ではコンピューターサイエンスを勉強していたこともあり、元々は大手IT企業でエンジニアとして働いていました。学生時代から起業に興味があったので、エンジニアとして働きつつ、起業のネタを探していました。
 私自身は特に起業の分野について大きな軸を持っていたわけではありませんでした。起業に興味を持ったのは、会社を1から作っていくのが面白そうだという感覚でした。ペット業界に分野を決めたのは代表の岩橋の想いが強く影響しています。
 代表の岩橋は高校の同級生なのですが、再会のきっかけは、たまたまカフェで会ったことでした。その時、私も岩橋も起業したいという話をお互いしていました。彼は、幼少期に里犬や保護猫を6匹飼っていたこともあり、動物の殺処分について深く考えていたと言います。そのような経験から、ビジネスを通じてそういった社会問題を解決したいと考えていたそうです。そのため、ペット業界で影響力を持つという点で、企業の軸はペット業界にしぼっていました。
 事業立ち上げ当初は、ペット業界に関するアプリやメディアを作り、参入しやすい領域で勝負していました。しかし、事業として成立させることは難しかったです。2年ぐらい売り上げが上がらず、お互い貯金がなくなっていました。事業を続けていくことがだんだんと厳しくなっていった頃、最後くらいは一番市場の大きいペットフード業界で勝負して、派手に散ろうと腹を決めまし。背水の陣という感覚でしたね。その後周囲の方の協力もあり、今こうして事業を継続できています。もしカフェで岩橋に遭遇していなかったら、今私はペット業界にはいないかもしれません。
エンジニアとしての元のキャリアは今の現場にどのように生きているのでしょうか。
今の私の主な役割はマーケティングなのですが、エンジニアリングを使って効率化できることもたくさんあります。Eコマースの業態では、ユーザーの購入までの流れが業績に直結するので、データ分析を行うことで改善するという部分ではエンジニアとしてのキャリアはとても活きています。
ココグルメの特徴を教えていただけますでしょうか。
 近年競合が増えてくる中で、私たちは、品質にこだわりを持っています。具体的には、人間と同じ品質を担保するということを大切にしています。そのため、食材選びだけでなく、人が普段口にする食品も作っている製造工場にお願いしています。そもそも日本の法律上、ペットフードは食品ではなく、雑貨に分類されます。食品の分野は法律が厳しいのですが、ペットフードは雑貨という括りになるので、その法律が適用されていません。
 ペットフードやその他のアイテムに関する法律についてだけでなく、生体販売や、殺処分数が減らない現状には人間と動物の暗黙の区別が存在していると思います。ペットフードの工場がしっかり管理されていないということではないですが、私たちは、動物と人間に対して分け隔てない価値観を作るという意味でも、人間と同じ品質という点にこだわりを持っています。動物も人間と同じという価値観を持った商品を販売することで、飼い主の方々、そしてその先には世の中の全ての方々に価値観が浸透していってほしいという想いがあります。
Eコマースのならではの難しさはありますか。
 ペットフードはいくら健康を配慮した商品であっても、結局はペットが食べてくれなくては話になりません。店舗販売であれば、試食などを活用することでそれが検証できるのですが、ネット販売ではそれができないのが難しい点です。そのため、最初のお客様でも試しやすいように、単品買い切りや少量で購入できる商品を用意して、最初の購入ハードルを下げています。そうすることで気軽にお試しいただけるよう、入り口を広げています。
 また、お客様からの自然なクチコミを大切にしています。キャンペーンやクーポンを配ってSNSでクチコミを誘う戦略を取っている企業さんもいますが、そうするとどうしても意見が偏ってしまいます。私たちは、SNSでのコメント等を通じてお客様と自然なコミュニケーションを取ることを意識しています。
今後の展望を聞かせてください。
 ビジネスを通じて動物の殺処分などの社会問題を解決したいという想いは変わりません。そのために、まずはペット業界で自分たちが影響力を持てるようになることが重要だと考えています。また、当たり前ですが、飼育動物よりも家畜動物の方が殺処分されていることは多いです。なので、将来的には培養肉や植物肉を通して、「脱・動物の命」を実現したいと考えています。

あとがき

近年、ペットフードが注目を集めている印象があり、インタビューを行わせていただきました。人が無意識に持っている動物に対する価値観を変えるということを中心に事業を考えておられました。製品を広めることで動物の殺処分が減らない現状を解決したいという想いがとても印象に残りました。

インタビュアープロフィール

山崎主真

APU
都立日野で高校野球東京選抜に選ばれる
野球推薦で大学進学も、心機一転退学。一からやり直して大学受験。今年APUに合格
東京都代表としてキューバ遠征に参加した際に、日本とキューバの経済格差を感じました。将来、教育を広めることによって経済格差を解消するという目標のもと、今を全力で生きている大学生です。

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