INTERVIEW

カウンシルインタビュー:真のグローバル人材とは? vol. 4 / パナソニック株式会社 コネクティッドソリューションズ社 山口有希子氏

日本人のグローバル化を加速する、日米交流コミュニティ「Ascendant Japan」。
そのカウンシルメンバーである、パナソニック株式会社 コネクティッドソリューションズ社 CMO 山口有希子氏 に、真のグローバル人材とはどのような人物か?を聞いた。

アッセンダント・ジャパン:https://vueloo.us/ascendant_japan/

スピーカープロフィール

山口 有希子

パナソニック株式会社 コネクティッドソリューションズ社 常務 エンタープライズマーケティング本部 本部長
シスコシステムズ、ヤフージャパンなどで企業のマーケティングコミュニケーション管理職に従事。日本IBMデジタルコンテンツマーケティング&サービス部長を経て、2017年12月より現職。
パナソニックのB2Bソリューションにおける、グローバルでのマーケティング組織を強化しつつ、企業トランスフォーメーションをドライブしている。日本アドバタイザーズ協会 理事 デジタルメディア委員会 委員長。
相手と自分自身のバックグラウンドをどれだけ正しく理解しているか
どういった素養を持っている人がグローバル人材になれるのでしょうか?
多様性に対する感度が高い方だと思います。

グローバル人材は、ダイバーシティの重要性を理解し、実践しているという面があると思います。英語というコミュニケーションツールを使えることはベースとして、個々のビジネスコミュニケーションはその人の出身や経験したカルチャー、バックグラウンドにより異なるということを理解できるとことは重要です。そして、世界は英語をベースにしたビジネスコミュニケーションを取っているので、英語のカルチャーへ適応していくことはとても大切です。

同時に、相手の意見の本質はどこにあるのかを理解するのに、それぞれの方のコミュニケーションスタイルを理解し尊重することが必要だと思います。(※社会人になって学校で勉強した社会心理学者 ヘールト・ホフステードの異文化ビジネスコミュニケーションはとても学びが多かったです)

また、グローバル人材を意識すると、改めて日本のことを勉強しなければならないと思います。世界の中での日本人の見られ方、文化の違い、特徴を理解することは大切です。定期的に各地域のマーケティングトップとの個別の打ち合わせを実施したり、海外のマーケターのメンターになったりしていく中で、相手のことをどれだけ引き出せているのか、そのために相手と自分自身のバックグラウンドをどれだけ正しく理解しているか、日々勉強だと感じています。
自分のUncomfortable Zoneに身を置く、という経験
多様性に柔軟に対応できるようになるために、必要な経験はどのようなものでしょうか?
自分のUncomfortable Zoneに身を置く、という経験ではないでしょうか。同質性の高い領域にいると、心地がいいというのはすごくよくわかります。ともすれば、その領域に留まってしまいます。四六時中同じ人と仕事をしている方が、ある意味心地はいいし、楽なのですよね。ですが、自分が居心地の良くないと感じる場所にこそ、学びが多いのだと思います。

それは、別に海外の人に囲まれるといったようなことだけでなく、例えば、自分と全く違う価値観を持つ若者の中に1人で紛れ込むというのも、ひとつのUncomfortable Zoneだと思います。そこでどのようにコミュニケーションを取るのか、というのも人としての学びのひとつじゃないでしょうか。自分自身が所属しているビジネスコミュニティではないところに敢えて行ってみる。そして、その違いを「楽しめる」ことがすごく重要なのだと思います。
チャレンジングなことはできるだけ断らないように
ご自身の経験で、Uncomfortable Zoneに飛び込んで学びを得た経験や原体験はありますか?
グローバルな環境において、ということでいえば、私が20代の時にメーカー系の商社で働いていた時の経験です。投資をしてアジアで合弁会社を作り、経営するという海外プロジェクトのメンバーでしたが、20代で経営会議や現地イベントにも経営チームの立場で出席していました。現地社員の方々は優秀で私よりかなり経験もあり年齢も高いのですが、私の方が良いテーブルに座って、彼らよりもよい待遇をされることはある意味ショックでもあり、個人的にはUncomfortableな状態でした。それは、私が優秀だったからというわけではなく、たまたま日本の経済力の方が高かったから、ということに過ぎません。

それぞれのバックグラウンドによって、ポジションが変わってしまうことを目の当たりにした時、自分はどうあるべきかをとても考えさせられました。その時、私に出来ることとして考えたのは、その現場で私なりに一生懸命仕事に取り組むことと、相手に対するリスペクトを示すということでした。

もう一つの原体験としては、外資系の企業に在籍していた時のことです。グローバル会議に参加していると、ビジネスのことのみならず、まるで日本全ての代表のように、文化面や歴史面から様々なことを世界のメンバーから問いかけられる。そこで受けた洗礼のような経験は、「このままじゃダメだ、もっと図太くならなきゃダメだ」と考えるきっかけになりました。20代の若い時からそういう経験を積むことができたのは良かったと思います。

「場数」はとても重要だと思います。英語しか通じない会議の場で発言することや、パネルディスカッションに参加するということは、毎回ドキドキでした。後悔や失敗もありましたが、嬉しいこともあって、いろいろな経験を積み重ねると「図太く」なれます(笑)。今でもまだまだ反省するシーンはいろいろあります。でも場数の重要さを考えて、チャレンジングなことはできるだけ断らないようにしています。
自分のプロデューサーは自分しかいない
変化の多い時代、実は挑戦の機会も増えたのではと思いますが、挑戦を楽しむにはどうしたらいいのでしょうか?
日本人は特に、間違えてはいけない、恥ずかしいことをしてはいけないという意識が強いと思います。でも、どんなに恥ずかしい思いをしても命を取られるわけではないのですよ(笑)。

私自身も、穴があったら入りたいくらいの恥ずかしい経験はたくさんしてきましたが、そこでチャレンジを止めないことが大事だと思います。振り返ったときにそれも笑い話になりますから。自分で自分の枠を決めないこと。人と違う自分を認めることが重要なのでは。やりたいことにチャレンジしたいならすればいい。自分のプロデューサーは自分しかいないのです。
個人として存在している以上、旗を立てる=発信するということがとても重要
自分自身をしっかり持って、相手とコミュニケーションを取っていくことに最も重要なことはなんでしょうか?
個人的に、教育に関連するプロジェクトにも携わっていますが、重要な軸としてよく言われるのは、人としてきちんと物事に向き合って考えること、それに対する自分の意見を持つこと、自分の考えを正しく表現して伝えることの3点です。それは、異文化コミュニケーションの中でも同様だと感じます。

何か聞かれたことに対して、「自分はこう思う」という意見を明確に持てることと、それを適切に表現できること、そして相手の意見に対して賛成であろうが反対であろうが、意見そのものを尊重できること。これらは全て、コミュニケーション力ということに尽きると思います。自ら発信していかないと、相手もどうコミュニケーションを取っていいのかきっとわからないですよね。英語でも日本語でも、それは一緒だと思っています。

私は何者であり、何がしたいのかを示す旗を立てていかないと、誰もその旗のもとに集まれないのです。私自身でいえば、マーケティングのトップとして、何をして会社を変えていきたいのか、という意志を示し、だから協力して欲しいと伝え、どのような組織を編成して、誰と何をしたいのかを発信していかないと、仲間を巻き込む渦は作れないと思っています。

そう考えると、発信とは旗を立てるということなのだと思います。誰にとっても、自分自身で旗を立てることがとても重要です。どのような高さ、大きさであっても個人として存在している以上、旗を立てる=発信するということがとても重要だと思っています。

あとがき

今向き合っているビジネスや環境のみならず、過去にも遡ってご自身の経験を直球でお話ししてくださった山口さん。「どんなに恥ずかしい思いをしても命を取られるわけではない」という言葉、本当にその通りだと思います。気持ちを大きく構えて、何事にもチャレンジしていくこと。そこから得られる学びには何にも変えがたい価値のあるものになります。

インタビュアープロフィール

わたえり/渡部 瑛理果(Erika Watanabe)

Ascendant Japan 事務局長
1992年生まれ、千葉県出身。通称 わたえり。上智大学経済学部を卒業後、2015年に博報堂入社。営業職として外資クライアントを中心に担当したのち、TBWA\HAKUHODOへ出向。コミュニケーション領域のプロジェクトマネジメントに従事。2020年7月より、Pivot Tokyo株式会社に所属。現在は、Ascendant Japan事務局長としてコンテンツクリエイション、運営に携わる。

アッセンダント・ジャパン:https://vueloo.us/ascendant_japan/

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