INTERVIEW

ゲームで新しいエコシステムを~CryptoGamesの挑戦~

NFTという言葉。最近よく目にするな、と思う人も多いかもしれません。Non-fungible Token という非代替性トークン。ゲームでのアイテムなどのトレードでも使われる。2018年というまだこれほどまでにNFTがトレンドになっていない頃に起業したCryptoGames。今回は代表小澤氏が創造するゲームとNFTの未来について聞いた。

スピーカープロフィール

小澤 孝太

代表取締役社長 CryptoGames株式会社
サイバーエージェントにて、様々なゲームタイトルやゲームメディアに携わり、その後、CryptoGames株式会社創業。日本初のブロックチェーン×トレーディングカードゲームの『CryptoSpells』の運営・開発している。
NFTが今ブームです。2018年から携わっていらっしゃる小澤さんは、このブームをどのようにお考えですか?
元々NFTとは、2017年に「クリプトキティーズ」という、ERC721を使ったNFTが誕生したところからはじまります。2018年の年初から、ゲームというには簡単すぎる、単に画像を売買する投機的なNFTが次々に発足しました。そんな中、2018年10月に日本のブロックチェーンゲーム「マイクリプトヒーローズ」がリリースされ、ETH上でDAU世界一になりました。今までは投機的なものが多かったのですが、それをゲームに特化したエコシステムに昇華したことがマイクリの実績だと感じています。単にNFTを売買するだけではなく、NFTを持っていることでゲームの中でよりアイテムを獲得できたり、よりクエストをクリアしてより多くの報酬を獲得することができるように設計した点がポイントだったと思います。弊社は、そのエコシステムをカードゲームに昇華させて「クリプトスペルズ」というカードゲームを作りました。今まであったアナログのカードゲームやデジタルカードゲームと比べて、ブロックチェーンの技術を用いたカードゲームは、資産性・トレード、二次流通マーケット、始めやすさ、拡張性という点で優位性があると思います。

弊社はゲームのみならず、「NFTStudio」というNFTマーケットも運営しています。日本法人だと、仮想通貨でNFTを販売したり、仮想通貨で報酬を受け取るのが法律的に難しいのが現状です。そんな中、NFT Studioは、カード決済で日本円の報酬を受け取ることができるプラットフォームです。LINEブロックチェーンやContent-Ethereumなど、日本のIP事業者さんに特化したNFTマーケットとしています。また、他のIP企業様が信用性の高い独自のNFTマーケット構築の支援事業も行なっています。

2021年、「play to earn」という言葉が流行ったように、今のNFTゲームと、報酬としてもらえるFTは切っても切り離すことができない関係になっていると考えています。日本事業者は、今まで報酬としてFTを発行することができず、グローバルに遅れをとっていました。去年、法務面、税務面の整理を行い、クリプトゲームズは、TCGコインというFTを2022年初頭に発行する予定です。それに伴い、FTを基盤としたゲーム群を今開発している状況です。コンセプトとしては、クリプトスペルズに加えて、アクシーと同じものを作っても、コインとしてヒットするのは難しいと考えており、TCGVerseのコンセプトとしては全てのNFTで遊べるゲーム世界を作ろうと考えています。ユーザーは単に画像としての価値だけでなく、アートやアイコンなどで実際にゲームをプレイすることができます。また、実際にこのゲームをプレイすると、報酬としてTGCコインを得ることができます。
グローバルと比べて日本企業は遅れをとってしまっているとのことですが、そんな中で日本企業の強みとはどういった点なのでしょうか。
日本は「IP天国」と呼ばれ、グローバルでも通用するIPがたくさんあると感じています。今の段階でNFTの研究開発をしているゲーム会社が入ってくると、グローバルでも戦うことができるようになってくるのではないかと考えています。その一方で、海外勢も日本のIPは世界でも通用するということは認知しており、日本企業をMGで買っていたりします。つまり、日本のIPが海外に取られて言っている状況とも言えます。しかし、大企業には、既存事業で儲かっているにも関わらず、わざわざリスクを冒してこちらに入ってくることはないというイノベーションのジレンマがあると思います。初音ミクとのコラボを発表した際、環境問題などについて結構炎上しました。このように、評判が落ちるリスクを抱えながらわざわざ参入したがらない傾向があります。また、日本企業はクリプトで報酬を受け取ることができないという背景もあります。
現段階では、貴社のゲームの利用者は日本人が多いのでしょうか。
はい、大半が日本人です。カルチャー的にも英語ネイティブ人材が少なく、日本語を使ってプレーしているというのが現状です。海外では、1試合40分ぐらいの長時間プレーするのが主流なのに比べて、日本では1試合3分程度が主流で、電車の中でプレーする人も多くいる印象があります。そのような点も含めて、グローバルに適応し切れていない現状があります。コミュニティが日本語主体でできてしまっている。これからは英語ベースでそういったコミュニティも作っていきたいと考えています。
「ゲームのフェイスをした金融」という言葉がキーポイントかと思うのですが、現在のNFTはアートの文脈で流行っていますが、国内でこれからNFTを浸透させていくにはどうしたら良いのでしょうか。
グローバルとはガラパゴス化して進んでいくと思うのですが、LINEブロックチェーンなど、日本に特化した形で進化していくと思います。弊社も「モルカー」のNFTなど、LINEブロックチェーンを用いて販売をしています。LINE Payで買えたり、クレジットカードで購入しLINEで送信したりするなど、LINEでログインすることでウォレットが不要になる場合もあります。NFTと感じずにデジタルグッズを購入し、売買するという流れはこれから普及していくのではないかと思います。また、売るだけでなく、LINEであれば公式アカウントでNFTを無料で配布するという取り組みもあります。プロモーションの手段としてNFTが使われるという形がこれから増えていくのではないかという印象もあります。しかし、見逃してはいけないのは、一般の人はNFTをあまり欲していないという点です。基本的にクリプトユーザーしかNFTを買わないという現状があり、デジタルグッズという文脈で少しずつ浸透していくとは思いますが、短期間で爆発的にブームが来ることはないと思います。
最終的にはどこを目指しているのでしょうか。
最終的にどうなるかの具体的な目標は立てていませんが、弊社はずっとカードゲームでやってきたので、NFT×カードゲームという観点ではグローバル1位を目指したいと考えています。アクシーのようなヒットサービスを出した上で、その経済圏を広げていくことを主軸に考えています。
CryptoGamesについて
2018年に創業、NFT事業を3年ほど行っているベンチャー企業。当初は、クリプトゲームブロックチェーンを使ったゲーム事業を展開、2019年に「クリプトスペルズ」をリリース。カードがNFT化されていることから、世界に10枚以下存在するカードもあり、数百万円単位で売買されているものもある。ゲームの他、「NFTStudio」というNFTマーケットも運営。そのノウハウを活かし、他のIP企業様が信用性の高い独自のNFTマーケット構築の支援事業も行なう。

あとがき

記事ではカバーしきれませんでしたが、ゲームをはじめ日本の知的産業におけるグローバル競争についてのお話や世界への思いもお話いただきました。せっかく日本発で良いものがあるのに、気づくと先を越されている。web3は、今世界も混沌としています。誰も正解がわからない今がチャンスなのではないでしょうか。

インタビュアープロフィール

満木夏子

Pivot Tokyo/Vueloo
Pivot Tokyo 主催。D2C Summit、NFT Tokyo 立ち上げ。日本からグローバルに挑戦する人を増やすため、GKCorsという英語の幼児教室の運営も。

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