INTERVIEW

コロナ禍で新たな方法を模索する 日本スタートアップエコシステムを創るための海外カンファレンスの活用方法

例年、海外カンファレンスで日本のスタートアップの出展の場を設け、そこから実に繋げるためのサポート活動をしているJETRO。今年は新型コロナウイルスにより、海外のイベントが軒並み中止、オンラインへ移行となりました。そんななか、日本のスタートアップを海外にアピールしていく場を創出するため新たな取り組みをしているJETRO新田氏にお話を伺いました。

スピーカープロフィール

新田 沙織

日本貿易振興機構(JETRO)イノベーション・知的財産部スタートアップ支援課
金融機関にてコーポレートおよびストラクチャードファイナンスを担当後、日本貿易振興機構(JETRO)に入構。
日本のデザインのPRや中国のEC関連イベント等担当後、2017年8月より現職。
日本発スタートアップ・ベンチャー企業のグローバル展開に携わり、北米・欧州・シンガポール展開支援を担当。
官民によるスタートアップ集中支援プログラム『J-Startup』や、東京都の『X-HUB OUTBOUND PROGRAM』の運営メンバー。
初のフルオンラインxグローバルカンファレンスへの挑戦
今回、世界最大のテクノロジーカンファレンス「ウェブサミット」の北米版コリジョンが初のフルオンライン開催となりました。日本組織としてスポンサーをしたのはJETROのみ。チェレンジングな企画だったと思いますが、参加してみていかがでしたか?
「JETROは、今まではスタートアップを海外のイベントに連れていき、そこで魅せるという方針をとってきました。しかし、コロナの影響もありこれまでの方針を完全に変えなくてはならない状況になりました。我々としても新しいやり方を早く見つけたいという思いがあったので、今年度の第1クオーターは、とにかくなんでもチャレンジしてやっていこうと決め、その初めのチェレンジがコリジョンでした。」

何でもやってみようというところから参加してみて

「コリジョンに参加を決めたのは、オンラインカンファレンスの可能性を試したかったということと、以前よりコリジョンに興味を持つスタートアップが非常に多かったことです。
やったことについては非常に意義があると思っています。しかし、やはりトロントとの時差が非常に激しく、昼夜逆転するような形で参加いただく必要があったので、ずっと集中して参加するのが難しかったという現実もあります。また、今回はタイムラインとしてはかなり短い期間で準備をしていたので、スタートアップのいつも通りの満足度や具体的な成果に繋げるというところは難しかったです。とはいえ、他の一般的なオンラインカンファレンスよりは、コリジョンは主催者のもつオンラインマッチングシステムなどもあったので学ぶところも多く、JETROとしてもノウハウを得られたと思っています。」
日本のスタートアップアップエコシステムの課題
日本のスタートアップエコシステムを構築する際の課題とはどんなところですか?
言葉の壁

「ひとつめは、言語の壁です。スタートアップカンファレンスをやるにしても、そもそも迎え入れるほうの日本人の英語対応が難しいというところがあって、そこがグローバルなエコシステム構築において非常に高いハードルとなっていると感じます。最近では、グローバルマインドを持った日本のスタートアップも増えてきていると思いますが、日本のエコシステムの中でも英語を話す人と話さない人の間には大きな隔絶感があったりと、まだまだ課題解決が難しいところだと感じます。」

恵まれた市場だからこその課題
「ふたつめは、日本のマーケットが十分大きいことから外に出ていこうと思う段階がどうしても遅くなってしまうことです。ウェブサミットに関しても、普通は創業5年以内のスタートアップでないと出展できませんが、JETROで1回目に出展した際、規定通りに募集をしたところかなり応募者が限られてしまいました。2年目以降は、本社へ日本のエコシステムの特徴を説明して10年以内にしてもらったという経緯もあります。この辺りもグローバルと日本で差異がある部分だなと感じます。」
JETROの初の試み:東京都 X-HUBプロジェクト
今回のプロジェクト(X-HUB TOKYO GLOBAL STARTUP ACCELERATOR OUTBOUND PROGRAM)でウェブサミットを選択した理由はなんですか?
「今回初めて、JETROが東京都のX-HUB事業をやらせてもらう事になりました。世界3地域で2つずつ日本のスタートアップを応援するプログラムをというご要望があり、北米では、ニューヨーク、シリコンバレー、アジアでは深圳、シンガポール、ヨーロッパではドイツ、ウェブサミットという形でやる運びとなりました。
ヨーロッパだけ都市名ではなく、イベント名が入っていますが、これには理由があります。ここ数年、JETROとしてヨーロッパ進出を支援する中で、日本のスタートアップにとってヨーロッパがハードルを感じやすい地域ということもあり、どのようにしたら日本のスタートアップがヨーロッパのスタートアップエコシステムを活用できるのかを試行錯誤した結果、ウェブサミットでブランディングすることが非常に外せないひとつの要素だとわかりました。ヨーロッパとひとまとめにいっても国ごとに事情が全く異なるので、ウェブサミットという広い場でヨーロッパの様々な国の人と繋がってビジネスチャンスを掴んでただく入口に使ってもらえたらと思っています。」
今年のウェブサミットはオンライン&オフラインのハイブリット
今年のウェブサミットではどんなことにチャレンジしたいですか?
去年の教訓を踏まえ、事前準備に力をいれたいという新田氏。

「昨年のウェブサミットでのジャパン・パビリオンに参加したスタートアップの成果及び満足度が会社によって大きく違ったなと感じています。成果を出した企業は事前の準備を非常にしっかりやっていらっしゃいました。ウェブサミットがアプリに情報をたくさんいれているので、人によってはそれをエクセルに落とし込んで500人以上にメッセージを送ったりして、その中から投資家やパートナーを探し出発前に10件以上のアポイントメントをとっていました。その結果、商談に繋がり会期後はヨーロッパへの拠点をもつまでになったとのことです。
一方でブースに立っているだけではあまり効果がなかったという声もありました。JETROとしては、参加いただいた皆様に何か得ていただけるように、参加機会を最大化するにはどうしたらよいか、今後一層丁寧にサポートする体制を用意したいと思っています。そのために、昨年成果を出していた人にお話をしていただくなどの機会を設けたいと思っています。」

ウェブサミットのみならず、JETROが持つエコシステムと合わせて相乗効果を狙う

「JETROでは世界中にグローバルアクセラレーションハブという各国に入っていくときにリファーラルとなるようなメンターをご紹介できる体制をとっています。そのメンターからあなたのビジネスならウェブサミットのこの参加者にアプローチしたほうが良いなどのアドバイスを皆さんに得ていただけたらと思っています。ウェブサミットが提供するマッチングのみならず、JETROがもつネットワークも駆使していきたいと思っています。」

★JETRO新田さんよりお知らせ★

X-HUB OUTBOUND PROGRAM Web Summitコースの募集を行っています。
ご興味をお持ちいただけた方はぜひ!

■X-HUB OUTBOUND PROGRAM募集ページ
https://x-hub.tokyo/outbound_program


JETROについて
ジェトロは、世界各国のスタートアップ・エコシステム先進地域において、現地有力アクセラレータ等と提携し、日系スタートアップのグローバル展開を支援しています。
■グローバル・アクセラレーションハブ
https://www.jetro.go.jp/services/jhub/

あとがき

「何事にもチャレンジしてみよう。」なかなかできないことだと思います。実は日本から組織としてウェブサミットに最初に出展したのはJETRO。今後の日本におけるスタートアップエコシステムの構築がとても重要なことを考えると、JETROのような組織が率先してこういった機会に参加していることはとても素晴らしいことだと思います。新田さんとはここ数年一緒にウェブサミットを盛り上げていただいていますが、いつも真面目で日本のスタートアップのために何ができるかを常に考え行動していらっしゃる素敵な方です。活躍する女性が少ない中でこういったウーマンパワーがスタートアップエコシステムを盛り上げているのもいいことですね。
★ウェブミサミット2020★
今年はオンラインとオフラインのハイブリッド開催。12月に開催予定です。日本事務局プレゼンツの特別オンラインツアーを企画しています。ご興味ある方はぜひ。
ウェブサミットオンラインツアー詳細

インタビュアープロフィール

満木 夏子

Pivot Tokyo
Pivot Tokyo 主催。世界最大級のテクノロジーカンファレンス、ウェブサミット日本事務局の代表を務める。日本からグローバルに挑戦する人を増やすため、GKCorsという英語の幼児教室も運営している。

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