INTERVIEW

海外をフィールドにビジネスを推し進めることとは

一気に進んだリモートワークで、ビジネスをするフィールドを海外に移そうと考える方や、既存のビジネスの展開先として海外を益々見据えるようになった方も多いのではないでしょうか?
改めて、海外でビジネスをすることの難しさや面白さといったところを、インドでのビジネス経験がある株式会社プリンシプルの佐々木 誠さんに伺いました。

スピーカープロフィール

佐々木 誠

株式会社プリンシプル 執行役員 COO
1998年 東京工業大学卒業、兼松株式会社に入社。2000年株式会社サイバーエージェントに入社し、アメーバ事業本部の副統括、広告事業本部の営業統括、SEM局、メディア局の統括とさまざまな事業でトップを歴任。2012年以降CAグループの株式会社マイクロアド海外事業部インドPJ責任者を経て、2020年2月株式会社プリンシプルにセールスディレクターとして参画。7月執行役員COOに就任。
インド人と日本人って意外と共通点がないんですよね。
インドで仕事をされていた経験から感じた、日本との大きな違いはなんでしたか?
私は、2012-2016年にインドに駐在していました。前職は広告のプラットフォームを運営するマイクロアドという会社にいたのですが、当時東南アジアからスタートして、インドでもそろそろビジネスを始めようか、というところで私が現地に行きまして。スタート時はひとりでインドに支社を構えてそこから採用を始めて、インドでのビジネスを始めました。

ビジネスの内容としては、広告プラットフォームをインド版にローカライズ、英語対応するなどして、現地での営業活動をメインに実施していました。

インド人と日本人って意外と共通点がないんですよね。インドから日本に来ているのも年間10万人程度で、あまり人の交流、文化の交流もないので、慣れるところが大変でしたね。
ブリッジの役割になってくれていた最初のインド人メンバーが、カルチャーも翻訳してくれていましたね。
海外におけるビジネス上での人間関係で、難しさを感じるのはどのような時でしたか?
まず、日本人のネットワークもなかったので、そこから構築を始めました。いきなりインド人を採用してもよかったのですが、失敗する可能性もあったので現地の日本人ネットワークを作って、そこからどうやって現地の方を採用すればよいのか?を相談しながら、少しずつ進めていきました。

インド人の最初のメンバーは、日本にいたことがあるメンバーを採用できて。2年ほど日本のIT企業で働いていたようです。日本とインドの文化を橋渡しするような役割になってくれました。彼が第1号メンバーで入り、その後何名か現地の方が参加してくれましたが、インド人からすると日本は遠い国なので、カルチャーがわからないと。ブリッジの役割になってくれていた最初のインド人メンバーが、カルチャーも翻訳してくれていましたね。
人同士の関係というか、どう自分たちの会社の優先順位をあげてもらうのか?ということに対して、日々努力をしていました。
インドと日本のビジネス環境はどう違うのでしょうか?
インドに進出している社数自体は多いんですね。ほとんどは自動車やメーカーです。一方で撤退している会社も多いんですよね。上手くいかないケースで行くと合弁会社やジョイントベンチャーなものを共にスタートするも、途中で仲間割れするといったようなこととか。日本の会社は東南アジアに進出することに比較すると、インドへの進出では苦労しているという印象があります。

一方でインド人の判断は早いですね。組織はピラミッド型、トップダウンで決めていくので。ただ現場がなかなか動かないといったことはよくあります。

あと、お金の支払いサイトも日本と違いますね。インドは年間の金利が6%ほどあるので、極端にいえばお金を払わないほどに儲かるんですね。CFOのミッションは「できるだけ払わない」という(笑)支払いを遅らせる、ということですね。
日本だと金利がほとんど付かないのでメリットデメリットはないのですが、インドの場合だと1ヶ月遅らせることで資金繰りが良くなるので、支払いサイトの文化的違いには苦労しましたね。インドの会社と取引すると、支払いが3ヶ月後、半年後となっていくので、キャッシュフローが苦しくなっていきます。

なので、途中でインド企業との取引はやめ、日系企業のみに限定するという選択をしました。
素朴な疑問なのですが、資金の支払いサイトの文化的違いがあるなかで、どのように支払いを促すのでしょうか?
日本だと信用調査機関のようなものがあるので、支払いが遅れるとその機関に「この企業は危ないぞ」とアラートが飛ぶ仕組みもありますが、そういったものはインドにはありません。とにかくしつこく連絡するしかない。
前職の場合は、経理のマネージャーが支払いどうなっているか?と問合せを続けると、ようやく支払いの優先順位が上がり、支払われるという。実際オフィスに押しかけたこともありました。会社によっては回収専用マネージャーも採用したりしているようですね。

そこも人同士の関係というか、どう自分たちの会社の優先順位をあげてもらうのか?ということに対して、日々努力をしていました。
かなり属人的で…そして地道な努力なんですね。
あとは半分前払い、もう半分は後払いにしてもらったりとかね。方法がないわけではないのですが、日本はいいビジネス環境だなって。日本だとお金の回収に時間を使うということはないじゃないですか(笑)インドに行って初めて「文化の違いとはこういうことなんだ」と感じましたね。
現地で何回ビジネスを組み立てられるかが成功の鍵だなと思います。
日本のビジネスマンが世界を見据えるとき、持つべき視点はなんでしょうか?
まずは現地に足を運ぶというのは大事です。実際インドでビジネスを始める前、1年ほど現地にリサーチをかけていました。1、2ヶ月に1回ほど、現地に足を運んでインドの市場調査とかしていたのですが、全然当てにならなかった(笑)インド人だって、出張に来る外国人に対して本当のことは言わないんですよね。

駐在として実際にインド行ってみたら、聞いていた通りでは全くなかった。なので、自分の目で見ること、現地に足を運んで、場合によっては会社を作ってでもいいと思うんですが、少しずつ現地で物事を進めていくのが良いと思います。

私もPivotしまくりまして(笑) 3−4回はしたと思います。最初はインターネット広告のプラットフォームとして進出したんですが、途中でターゲットをインド企業から日本企業に変えたり、Eコマースを手掛けたこともありました。日系企業がインドでEコマースをやりたいのだが、手伝ってくれる会社がいない…ということで、そこに対応したりだとか。

海外でのビジネスは、最初の仮説通りにはいかないので、現地で何回ビジネスを組み立てられるかが成功の鍵だなと思います。
新興国でチャレンジするからこそ、色々な人と繋がりができます。
最後に、日本のビジネスマンはもっと海外に足を運ぶべきだと思いますか?
運ぶべきでしょうね(笑)インドに進出したいという企業はとても多いのですが、インドでビジネスをしたいという人が少ないという話をよく聞きます。逆に言うと、めちゃくちゃチャンスだなと思いますけどね。
海外進出とか海外拠点に行くことを、今の若者は嫌がっているという印象があって。シンガポールやアメリカならいいよという方は聞くのですが、新興国に行きたいという人は、絶対数が少ない。
もし、現地でビジネスを推し進める人材がいればインドに進出したい、という企業は多いです。

逆張りではないですが、そうして新興国に赴くことは、とても良いチャンスだし、いい経験ができると思います。

日本ってビジネス環境が良く、ビジネスがやりやすい国だと思うのですが、新興国でチャレンジするからこそ、色々な人と繋がりができます。私も生まれて初めて海外に駐在したんですが、文化も違う、環境も違うところで育った人たちとも、仕事をすることで、分かりあえるという経験をすることができました。

そうしてわかり合うことで、交流が生まれて。人間同士交わってみると、お互いに生まれ持った環境があって、その中で必死に頑張っているというのを感じることができますし、私もその経験から人間的にも成長できたんじゃないかな、と思います。
インタビューを終えて…7/1付で株式会社プリンシプル の執行役員COOに就任した佐々木さん。自身の経歴を今後どう生かしていくのか、海外事業を牽引するのかを聞いた。
7月に株式会社プリンシプル 執行役員COOに就任されましたが、今後の意気込みや展望をお伺いさせてください。
プリンシプルは、GoogleアナリティクスやBIツールのTableau(タブロー)などに強みを持ち、テクノロジーに強い会社として顧客に認知されています。最近では、データ解析のみならず、マーケティング全体の戦略設計や、広告、SEOといった具体的なWebマーケティングの打ち手の相談が増えていますね。プリンシプルが総合コンサル化していく中で、国内およびグローバルにおいて、私が20年間で培ったノウハウを活かせればと考えています。

インタビュー動画

あとがき

インドでのビジネス経験から、改めて海外でビジネスをすることの面白さ、難しさをお話いただきました。日本はビジネスがしやすい環境だという言葉もありましたが、ある種居心地の良い環境は時にぬるま湯として、わたし達を甘やかしてしまうのかもしれません。
人がなかなか足を運ばない、国・領域に自ら足を踏み入れ、チャレンジするからこそ得られる唯一無二の経験があると改めて感じると共に、日々そのチャレンジ精神を、若者・ベテランも関係なく持ち続けることがこれからの未来では重要だと感じました。

インタビュアープロフィール

わたえり/渡部 瑛理果(Erika Watanabe)

Pivot Tokyo 2020 ゼネラルマネージャー
1992年生まれ、千葉県出身。通称 わたえり。上智大学経済学部を卒業後、2015年に博報堂入社。営業職として外資クライアントを中心に担当したのち、TBWA\HAKUHODOへ出向。コミュニケーション領域のプロジェクトマネジメントに従事。2020年7月より、Pivot Tokyo株式会社に所属。現在は、Pivot Tokyo 2020のメディア運営・コンテンツ制作をはじめ、グローバルコミュニティの日本誘致、企画運営を担う。

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