世界のスタートアップシリーズでは、世界で注目されているスタートアップや日本ではまだないようなサービスを展開している企業を紹介していきます。第1回目は、3DLOOKというスマートフォンで撮影した動画をもとに服などのサイズを個々のサイズにフィットしたものを作ることができるサービスを提供している会社です。

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スピーカープロフィール
Vadim Rogovskiy
3DLOOK (CEO, Co-Founder)
- 3DLOOKについて
- 「3DLOOKは、消費者が写真を2枚アップロードするだけで、適切なサイズの服を見つけることができるサービスです。アップロードした写真に基づき、推奨サイズが表示されます。このサイズに近い商品を購入すれば、ぴったりとフィットした服を買うことができるので、サイズが理由での返品を減らすことができます。その結果、リテーラーはより多くの利益を得ることができます。」
- 資金調達状況と中期的な目標
- 「初期投資は、以前から知っているエンジェル投資家から受けました。最近、シリーズAラウンドで650万ドル、これまでの投資総額は1,120万ドル。今年は、昨年の4~5倍以上の成長を計画しています。そのためには、たくさんの人を雇わなければなりません。今年はすでに、アメリカ、ウクライナ、スペインなどで20人ほどを採用しました。ニューヨークのセールスチームやカスタマーサクセスチームを除いては、地理的要素は全く重要ではないと言ってもいいでしょう。
事業拡大においては、近々、いくつかの製品を発表する予定です。実は明日、ユニフォーム製造用の製品として「アウトオブザボックス」を発表します。これは同種の製品としては世界初です。また、今年のQ2かQ3には、「Your Fit」というファッション向けの製品を発表する予定です。」
- 業界に与えるインパクトについて
- 「僕たちの製品は、ブランドが服を作る方法を変えるサービスです。これまでは、アパレルの生産はブランド主導で行われてきました。ブランドは、年に2回、自社のターゲット層に向けて新作を発表し、それが世の中の流行スタイルを創り出してきました。それが私たちの常識でした。しかし、状況は変化し始めています。これからは、消費者から始まるべきです。自分が何を必要としているかを判断するのは消費者であり、ブランドからどんな商品がほしいかを決めるもの消費者。だからこそ、私たちはこのサプライチェーンの重要な役割を果たすと考えています。」
- 日本の方が御社のサービスを聞くと、ZOZOスーツを思い浮かべるかもしれません。この分野には他にもプレイヤーがいますが、3DLOOKの強みや差別化ポイントは何ですか?
- 「似ている点は、彼らも我々と同じ問題を解決しようとしていたことですが、我々のソリューションは、より汎用性が高いです。彼らのアイデアはスマートで、既成概念にとらわれないものだったと思います。しかし、実用性に障壁があったのも事実です。実用性の低いものは、イノベーションの妨げになります。まず、このスーツをオーダー、自宅へ配送してもらい、試着してスキャン。顧客の手間が多いとその分拡大することが難しくなります。データについても、現在では我々のサービスの精度が非常に上がっています。この手のサービスを提供する会社は多くいますが、結果を比較したところ、我々の方が正確でした。モバイルボディスキャニングという分野に注目が集まったという観点では、ZOZOスーツはイノベーションの素晴らしいアイデアだと思いますし、実際に素晴らしかったです。同じようなサービスを展開する者として、彼らがやってくれたことに感謝しています。でも、写真を2枚撮って、それを実際に着てみる方がずっと簡単だと思います。」
OMAKE:ファウンダーズ・ストーリー
- ファウンダー・バックグランド
- 「私の学生時代のバックグラウンドとして、ビジネスとマネジメントの学位を持っています。18歳の頃、大学で小さなプロジェクトを立ち上げ、起業家としての冒険をしていました。しかし、最初の本格的な会社は、オンライン・マーケティング・キャンペーンを最適化するためのソフトウェア会社でしたが、ハイテク産業ではありませんでした。期待したほどの成果は得られませんでしたが、なんとか売却することができ、その後、さらに米国の企業に売却しました。その後、2社目の会社として、アドテクノロジーの会社を起業しました。それは、アプリ開発者が自分のモバイルアプリを宣伝し、さらに収益化するためのモバイル広告プラットフォームでした。その会社は成長し、年商13Mユーロにまで成長させることができました。私は保有する株式の一部をプライベート・エクイティに売却して、退社。その後、私はこの業界に最初の頃のような”ワクワク感”を感じなくなりました。消費者や広告主、開発者に大きな価値をもたらしているとは思えなかったのです。全く新しい業界でビジネスを始めるというのは、私にとってかなりハードな移行でしたが、今こうしてなんとかやり遂げることができました。」
- 起業を続ける理由とは
- 「ただ好きだからです。私が18歳のとき、小さいプロジェクトをやりました。これがシリアルアントレプレナーのスタートだったと思います。私は、それをゲームととらえ楽しんでいました。だからこそ、スタートアップを運営するときに必ず起こる困難な時期を乗り越えることが、比較的楽にできたのだと思います。もちろん、今はゲームではありません。スタートアップは僕の人生です。スタートアップは自分の人生であるべきだと思います。そうでなければ、継続して成功することは非常に困難だと思います。 」
インタビュー動画
あとがき
フォーブス誌 30 Under 30 にも選出されているVadimさん。起業3社目のシリアルアントレプレナー。上場が目標というより社会的意義、社会に与えるインパクトについても思いがある方です。写真2枚で自分にぴったりのサービスが作れるという素晴らしいサービス。国内のアパレル、Eコマースサイト運営されている企業さんでご興味ある方いらっしゃればご紹介するのでお声がけください。
インタビュアープロフィール

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満木夏子
Pivot Tokyo - Pivot Tokyo 主催。世界最大級のテクノロジーカンファレンス、ウェブサミット日本事務局の代表を務める。日本からグローバルに挑戦する人を増やすため、GKCorsという英語の幼児教室も運営している。