世界のスタートアップシリーズでは、世界で注目されているスタートアップや日本ではまだないようなサービスを展開している企業を紹介していきます。今回は、カナダのトロント発の3Dのバーチャル空間を制作する企業3D CityScapesを紹介します。ダウンロード不要で、自社サーバーやゲーミングコンピュータでなくても利用することができるそうです。

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スピーカープロフィール
James Borst
3D CityScapes
- 3D CityScapesについて
- 「3D cityscapes "は、世界で最もリアルな3Dインタラクティブ空間を提供しています。私たちは、不動産や都市開発に関わる業界にむけてサービス提供しています。この業界では高い知名度を誇っており、グローバル展開しています。また、都市や空港、原子力発電所などのデジタルツインも制作しています。思いつくものはほぼ全てデジタルツインを作ることができます。」
- 強みとユニークポイント
- 「膨大な量のインフラを自社で内政したことや、プラットフォーム基盤を取り入れたことで、通常の3Dスタジオよりもはるかに速いスピードでスケールアップすることができました。私たちは、都市の建設を可能にするA.I.プラットフォームの構築、世界中から優秀な人材を集めることに多くの時間を費やしています。
この業界で私たちがユニークなのは、他の会社と提携していることです。私たちは、Google Stadiaのような独自のストリーミングプラットフォームを他社と制作し自社の製品として持っています。我々のプラットフォームを使えば、通常は4,000ドルのコンピュータを必要とするようなアプリケーションを他社よりずっと安く、サーバー全体に配信することができるのです。通常であれば、4万6,000ドルのコンピュータを購入してAmazonで販売する必要があり、そのコストは月に1~2万ドルにもなります。私たちは独自のストリーミングシステムを持っているので、コストは基本的にその128分の1です。ユーザーはウェブサイトにログインして、すぐにアプリケーションに入り、世界のどこにいても、ダウンロードや高価なコンピューター、デバイスは必要ありません。」 - 中期目標について
- 「中長期的な目標として、世界中にインタラクティブな3D都市をつくりたいと考えています。セカンドライフのように、自分のアバターをつくって、実際に街を歩き、人々と交流することができます。また、バーチャルに旅に出ることもできます。例えば、東京に行ったことがない人でも、実際に東京の街を歩き、バーチャルな世界で東京がどんなところかを知ることができます。私たちは現在、世界初のインタラクティブな3Dのデジタルツインを制作しています。世界のどこからでもログインでき、アバターを作成して街を見て回ることができます。
長期的な目標としては、このサービスを世界の主要都市に展開することです。グローバル全体で現チーム数は50人強ですが、ここ2年以内には250人から400人にする計画です。デジタルツイン環境への需要が高まるにつれ、私たちは急速に成長しています。今後も大きなプロジェクトが控えています。」 - デジタルツインは、コロナで需要も高まりそうですが、実際はどうですか?
- 「デジタル革命が起こる前から、オンラインゲームは数多く存在していました。技術が高度になるにつれ、リアリスティックになってきています。 社会は今、バーチャルにおいてもつながりを求めています。 コロナ禍では、人々は家にいながらにして、オンラインでのビジネスのやり方や、顧客との関係を深める方法などを考えています。デジタル化への需要と実装は、これまでよりもはるかに早く前進していることは間違いありません。 今、誰もがデジタルツインについて話しています。 NVIDIAは、全世界のメタバースを作成すると発表しました。現実世界の1,000倍の大きさになるそうです。デジタルツインの業界には、NVIDIAなどの大きなプレーヤーがいます。巨大な産業となるでしょう。近い将来、ウェブサイトは、テキストと写真だけの2次元のウェブページではなくなります。3Dの環境で人々に会い、さまざまな製品を見て回り、パフォーマンスを行うことができるようになるでしょう。 このような3Dインタラクティブ環境の一部になることは、世界的に見ても非常にエキサイティングなことなのです。」
- グローバル展開について
- 「私たちは、世界のすべての主要都市に進出したいと考えています。シンガポールの例を見てみましょう。 シンガポール政府は7,300万かけてバーチャル・シンガポールをつくりましたが、それには5年の月日を要しました。このプロジェクトはクラウドではなく、ビデオローカルのゲームエンジンを使っていたので、レンダリングには関連したビデオゲームエンジンが必要でした。 我々の持つプラットフォームを使えば、その4倍の速さでレンダリングでき、品質も格段に向上します。私たちは、ある都市のデジタルツインを作成する際には、その地域の政府関係者や地元のパートナー企業と連携する必要があると考えています。そのため、その都市でデジタルツインを作るたびに、オフィスが必要になります。それが私たちのグローバル展開です。新しいデジタルツインを作るたびに、私たちはそこにオフィスを構え拡大していくのです。」
OMAKE:ファウンダーズ・ストーリー
- なぜスタートアップをはじめたのでしょうか。
- 「私は、幼い頃からコンピュータに魅了されてきました。11歳のときにプログラミングを始め、将来はビデオゲームのデザイナーやプロデューサーになりたいと思っていました。コンピュータグラフィックスに憧れていたのですが、まさかその夢が叶うとは思わず、マーケティングやデジタルメディアの制作の道に進みました。その後、ウェブサイトのグラフィックデザインを作る仕事に就きました。私にとっての原動力は、私が所属しているのは社会貢献をする組織であるか否かです。世界中の人々を助けるために大きな開発をしたいと思っています。私にとっては、圧倒的な成長を遂げた企業は、社会貢献に使える資金が増えることを意味します。人生とは、他の人々に奉仕し、助けることです。私たちはグローバルコミュニティに属しており、ビジネスリーダーたちは、私たちのビジネスが単なる自己宣伝や自己満足のためのものではなく、世界全体を家族のような存在ととらえ、お互いを助けるためのものであるという立場を取るべきです。視点を変えて、他の人を助けるために何ができるか?どうすればこのビジネスが本当に社会の役に立つものになるのか、どうすれば世界にポジティブな変化をもたらすことができるのか、と視点を変えるべきです。今、私たちは皆、コロナで大きな問題に直面しています。ですが、世界には、いまだに水不足に直面している人々がいます。水を得るために、片道3時間かけて歩く人もいます。飢餓に直面している人々もいます。これは、ポジティブな変化をもたらすための、私の個人的な意見です。良い人生を送り、前向きな人生を送ること、そしてそれを自分のためだけに使うのではなく、他の人々を助けるためにも使うこと。」
インタビュー動画
あとがき
デジタルツインは、これからリテールや観光の分野の新しい販路となると予測されています。膨大なデータが取得できることからマーケティングへの活用も期待されています。デバイスのスペックと費用感のハードルが低くなれば一気に広がりそうですね。
インタビュアープロフィール

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満木夏子
Pivot Tokyo -
Pivot Tokyo 主催。日本からグローバルに挑戦する人を増やすため、GKCorsという英語の幼児教室も運営している。世界最大級のテクノロジーカンファレンス、ウェブサミット日本事務局のレプレゼンタティブも務める。
About 3DCityScapes